2015.5.29 JaSST'15東北の基調講演で私が最後に伝えたことは「相手の立場に身を置き、考え、行動することの重要性」でした。
レビューやテストの準備として観点を整理し、設計する場面やレビューコメント、テスト結果を相手に伝える際など(それに限らず、人間が生活していくうえでのあらゆる場面)には「相手の立場から考える」ことがとても大事だよ、というメッセージです。
基調講演の準備の過程で、これまで仕事や家族と経験してきたさまざまなことをふりかえり、総括するとこのメッセージに行きついた。今回はそれを素直に伝えたつもりです。
セブンイレブンの創業者、鈴木敏文氏によれば、人が「~のために」と考えるとき、”自分の立ち位置”から相手を見ていると。
自分→相手の図式。
この場合、自分の持っているものをベースにモノゴトを考えるため、相手に(自分の持っているモノを)押し売りしたりしかねない。モノが余り、多様な価値観や選択肢に囲まれている現在では、プロダクトアウトの発想は時代遅れだと。
本当に求められていることは、(当たり前ですが)相手が感じていることや真に求めていることを把握し、それに応えること。
そして、その変化を捉え、タイムリーに適応すること。そう、マーケットインの発想です。
その実現のために、相手の立場に身を置く(相手=自分→の図式)のが効果的だ、ということになります。
創業時からこのことを徹底してきたセブンイレブンのその後は・・・言わずともわかると思います。
話は変わりますが、最近「デザインシンキング」という言葉をよく目にするようになりました。
私が初めてこの言葉を意識したのは、”SQiPシンポジウム2014”横塚氏の基調講演でのことです。
ビジネスやITの変革を大きく推進するために、「品質」も新しい考え方に基づく指標に変革していくことが求められる。
その実現には「デザインシンキング」が欠かせないと。横塚氏のプレゼンはインパクトのあるものでした。
詳細はここで触れませんが、デザインシンキングには5つのSTEPがあるそうです。
STEP1:共感(Empathize)
STEP2:問題定義(Define)
STEP3:創造(Ideate)
STEP4:プロトタイプ(Prototype)
STEP5:テスト(Test)
ここで今回取り上げるのは「STEP1:共感」です。
対象となる人々や環境・境遇を理解し、共感することが重要である。
その実現手段として、例えば、同じ場所で暮らしてみる、サービスや製品を実際に使ってみる、リアルに体験してみる、などがある、とのこと。これはすべて「相手の立場に身を置く」ことに他なりません。
今回私が自らの体験をベースにJaSST'15東北で発信したメッセージが、これからのビジネスやITに不可欠なノウハウと符合したのは(単なる偶然ですがw)ちょっとうれしい気持ちになりました。
コメントをお書きください