最近はいろいろ立て込んでいて本を読む機会もあまり取れない状態が続いていましたが、久しぶりに無理してでも読みたい!と思える本に出会いました。
それが「チームの力 構造構成主義による”新”組織論」 西條剛央(ちくま新書)です。
東日本大震災の直後に現地の物流支援などを目的に任意で立ち上げた「ふんばろう東日本支援プロジェクト」を題材にしなやかなチーム作りのための実践理論、さまざまな原理の適用がもたらす効果などを解説する内容となっています。
この本を読みながら、(規模や成果はぜんぜん異なりますが)社内で生産革新活動を3年間主導した時の記憶がよみがえり、その時に分かったこと、感じたり実践していたものの明確な言葉にできずに終わったことなどが見事に解説されていて気持ち的にスッキリしました。
構造構成主義とはモノゴトの本質からなる原理を把握する学問で、価値の原理、方法の原理、人間の原理などの原理群からなる体系なんだそうです。そして原理とはいつでもどこでも論理的に考える限り例外なく洞察できる理路・・・と書いてありますが、あくまでも難しい言葉で困ったものです。(笑)
例えば「方法の原理」とは、”方法の有効性は状況と目的により変わる”ということ。
なるほど、あるところで有効な方法が別の状況下では役に立たないモノになりえる、その場合は(その状況に合うように)別の方法に変える必要があるのもその原理で説明ができます。(フムフム)
これらの原理を使って、プロジェクトや組織がうまくいかない要因とその対策、ある状況にどのように対応していくのが良いのかなどをふんばろう東日本支援プロジェクトでの事例を使って具体的に解説してくれています。
目指したのは以下のようなチームだそうです。
・くじらではなく小魚の群れになる(くじら=動きが鈍い組織、小魚の群れ=機動力がある自律したチーム群、の例えですね)
・明確な境界のない未曾有のチーム
・目的や理念がありながら状況の変化に柔軟に対応できるしなやかなチーム
それを東日本大震災で被災した現地で実践し、大きな成果を上げたことはすごすぎると思いました。
※2014年にアルス・エレクトロニカ賞のコミュニティ部門最優秀賞とベストチーム・オブ・ザ・イヤー2014を受賞したそうです。
とはいえ、明示されている原理が頭でわかればすぐできるようなものではありません。
また、イキナリ現場に飛び込んで経験しさえすれば体得できるような簡単なものでもありません。
実際に考えたこと、やったこと、あったことがホントにさらりと書かれているのですが、実際にはすさまじい状況の中で実践された内容であったはずです。そんなプロジェクトを統率してきた著者に頭が下がります。
私がこの本のおかげですっきりしたのは、組織とチーム、そしてグループの違い、そしてこのプロジェクトのゴールです。
個人的に”組織とチーム”についてうまく説明できていなかったのですが、とても腑に落ちました。
また、SaPIDのきっかけとなった生産革新活動の推進チームが掲げたゴールが、まさにこの「ふんばろうプロジェクト」のゴールと同じだったのはびっくりしました。
さらに、”自律したチーム作りに必要なこと”はSaPIDが目指すことでもあるため、とても共感しました。
他にも、リーダのあり方、誠実なチームや組織を作るには?、感謝を忘れたときチームは崩壊する、などチームや組織を運営する立場であれば把握しておいてほしい内容が目白押しです。
もし書店に寄ることがあれば、是非一度手に取ってみてほしい一冊です。
Ezequiel Stamper (土曜日, 04 2月 2017 08:42)
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