利用時の品質(その4:効率性)

次は「効率性」です。


定義は「利用者が目標を達成する際に、正確さと完全性に費やした資源の度合」となっています。

想定している利用者がやりたいことを実現する過程と結果(=有効性)を得る時に、どのくらい資源を使うのかを示す特性ということですね。

ここでの「資源」とは、システム・ソフトウェアの利用者(や関係者)が持つ・・・時間(や期間)、努力量(工数や手間、人手など)、お金などを指します。


たとえば、自宅から通学可能で、自分の持つ能力に見合う大学の情報が欲しいという利用者がいて、国内の大学関連情報を提供するWebシステムを使うとします。

(そのシステムはまさにそのような利用者を想定して構築されたと仮定します)

 

自宅のロケーションや自分の現在の成績、希望する分野などを入力し、検索ボタンを押すと・・・欲しい情報が一覧形式で画面に表示されました。それがまさに利用者が欲しい情報が含まれていたとすると「有効性」は見事クリアですね。

目標達成!よかったよかった!もういいですよね!・・・いやいや、ちょっと待ってください。


もし、検索条件を入力するまでにどのように使ったらよいのかがよく分からない・・・難解な操作を必要としているために、条件を入力して検索を指示するまでに30分もの時間が必要だったとしたらどうでしょうか?

そして、検索指示後に情報が画面に表示されるまでに1時間かかるとしたらどうでしょう?

さらに、検索結果が大量に表示され、本当に欲しい情報に絞り込む方法がないために、表示された情報の中から自分であれこれ探す必要があるとしたらどうでしょう?(結果的に見つけられるとしても・・・ですよ)

さらにさらに、その情報を入手するのに1000円の支払いが必要(検索機能の利用料として)だとしたらどうでしょうか?


極端な例を並べましたが、このように有効性を実現するだけでは「これ便利!」「今後もこれを是非使う!」ということにはなりません。つまり、どうがんばっても外せない「有効性」と一緒にくっついている特性の一つ、というふうに捉えるとわかりやすいと思います。

このようにシステム・ソフトウェアの利用を通じて得られる成果を内訳として”分解”したもの(のうちの代表的なもの)が利用時の品質(特性)です。


PS:

庶民的な感覚(笑)では効率を含めて「有効である」と捉えると思いますが、利用時の品質では目的達成と効率(+今後解説する別の特性を含めて)を個別に分けて捉えようとしていることに注意が必要です。

実際の活用時には、あらかじめ設定する目標の中に「必要になるお金」や「手間・工数」などを入れておき、それらすべてで「有効性」を評価することもできます。

この場合、「~ができること」+「効率がよいこと」のように有効性の枠内でいくつかの「サブ目標」を設定することになるはずです。

有効性と効率性を別々に評価するのも、有効性の中に効率を含めて個々の評価結果をサマリするのも、結局は同じ意味を持つように思います。分けなければならない、ということではありませんので、やりやすい方を選択してください。

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