2016年末に札幌でのトライアル開催を終え、いよいよ東京で未来予想型チーム運営ワークショップを開催しました。
その模様をレポートします。
今回のワークの会場は東京水道橋駅近くの「清話會ビル2F」。
当日は9名の方たちに受講いただきました。
ワークショップの目的や概要をお伝えし、2つのチームに分かれて簡単な自己紹介やチーム名検討を含めたアイスブレークと当ワークの共同開発者水野氏による解説を実施。
このワークショップは指定された種類の折り紙を、指定された数量取り揃えることをひとつのプロジェクトと見立て、「未来予想図」を使いながら首尾よくミッション達成ができるかどうかに取り組みます。
今回参加いただいたみなさんはモチベーションが高く、最初から最後まで目が”キラキラ”していました。とてもよい雰囲気でワークが進められたのは参加者のみなさんのおかげです。(ありがとうございました!)
この写真は当日の会場の様子です。
チーム名は左写真の通りです。
なぜこの名称なのか・・・・は想像にお任せします。(笑)
(1)ワーク準備
ワーク準備では見積、予測の基礎情報として「各自の折り紙を折る能力」を把握するため「折鶴を1つ折る時間」を計測します。折り紙を折る能力の個人差は大きく、通常は2分台~10分超えのばらつきがあります。
写真は今回作成された折鶴です。
もしかすると新種(?)の折鶴が出てくるかも・・・と期待しましたが、今回はありませんでした。(笑)
(2)ミッション提示&見積
準備も終わり、講師より今回の「ミッション」が提示されました。「n種類」の折り紙をメンバーの人数分、所定の時間内に折ることが申し渡され、すべて折り終わるまでの時間を各自が見積もります。
ミッションの難易度もあり、多くの方たちが30分以上の時間で見積もりました。
(3)個別未来予想&記載内容精査
ミッションの内容とチームの状態などを考慮し、このまま取り組むとこうなりそう、と思われることを各自で付箋に書き込みます。まずは思いついたことを素直に表現し、書き出すことが重要です。
そのあと、書き込んだ内容(付箋の記述)を精査し、洗練させるためのコツを伝授し、みんなで書き換えていきます。
この処理は、より鮮明に未来を予測するために必要なことになっています。
(4)未来予想図構築
それぞれの付箋の処理が終わったら、いよいよチームメンバー全員で未来予想図を構築します。
構造図を構築しやすくするコツを伝え、それぞれのチームで議論しながら構築していきました。
未来予想図を構築するための土台として今回は「ごみ袋」と「ホワイトシート(静電気で貼り付けるシート型のホワイトボード)」の2種類を用意しましたが、2チームとも「ごみ袋」を活用していました。
(5)負の連鎖を断ち切る要素の特定と施策検討
次に、できあがった未来予想図の構成要素の中から、自分たちで打ち落とせそうだ(実現性が高い)と思える、それがなくなると成果が上がることが期待できる(効果が高い)要素を特定します。
実現性と効果のどちらか一方だけの要素にアプローチしても、欲しい結果は得られにくいので、両面を兼ね備える要素を見つけてそこにできるだけ費用対効果が高い施策を割り付けます。
写真は未来予想図から実現性と効果の両方を兼ね備える要素を特定し、シートに貼り付けた状態です。
赤いシールがついているのは、たくさんの要素の中からどれにするかを選択する際に、チームメンバー全員の投票(数)で決めたことを示すものです。
写真は、特定した要素に対する施策を検討し、その内容をシートの下側に貼り付けた状態です。
これで実践に向けた準備は完了です。
(6)折り紙ワーク開始!
いよいよ折り紙ワークを開始しました。
未来予想図から明確化した施策を含みつつ5分間実践します。
みなさん、真剣です!
(7)実践後のふりかえり&未来予想図更新
5分間の折り紙ワーク実践を終えると、その時点での成果物(の数と状態(質))を確認し、チームでふりかえります。
まずは各自で「うまくいったこと」「うまくいかなかったこと(問題点など)」「気づいたこと」などを付箋に書き出し、チーム内で共有します。
ふりかえり結果をメンバーで共有・把握できたら、その情報を活用して未来予想図を更新します。
折り紙ワーク実践により明らかになったことをベースに、より確度の高い未来予想に変えていきます。
そして、更新された未来予想図を活用して(5)~を実践します。これを3回繰り返し、完了までの時間を計測します。
3回実践して終了できない場合は、アディショナルタイムを追加して完了するまで実践します。
写真は「ながたにえん」チームの成果物一式です。
メンバーの皆さんが「お花畑~♪」といいながら並べていました。(笑)
最終的に当初見積値から見て60~70%程度の時間で完了することができました。
実際のワークでは、全てのワーク終了後に全員で今日のワークをふりかえり、その結果をサマリして共有します。
また、実践してみて感じた疑問、不明点などを個別の質疑応答で解消して終了します。
■受講者の評価結果と感想
ワーク終了後の受講者アンケート結果を(氏名を除きそのまま)示します。
100点満点のところ複数の皆さんから135点や120点などの高い評価をいただきました!
企画・開催する側として素直にうれしいです。
ワークの最中も笑顔だけでなく「楽しい!」「わー!」「すごーい!」などの声が絶えず、とてもうれしい場になりました。
これも参加者のみなさんのおかげです。ありがとうございました!
◇135点
<満足度評価の内容と受講後の素直な感想>
原因→結果を整理する中で困っていたところが(業務が)これだけ優れたメンバーとやっても発生し、誰と組んでも起こりうる問題なんだと感じたところ。
その問題に対する答えにつながるヒントを頂けたのがうれしかったです。
業務に直結するワークでした。
最後のふりかえりの時間が一番濃密でした。
<体験いただいた手法や当ワークへの提案>
構造化する前に付箋の粒度をばらしていくところの比重をもう少し高くしていただけると合意形成も楽だったかもしれません。要素を出して並べるところの経験を多くすることで、話が進んだり、このワークのやりやすさ、難易度も下がるような気がします。
<受講推奨の言葉>
CCPMとTOCfEをまだちゃんと勉強する前でも、このワークショップはとても楽しかったし、気づきをたくさんいただくことが出来ました。自分の課題が明確であればあるほど、心にひびく内容だと思います。どこを重要視して学ぶべきか、質問を的確にすることができるので、是非意識されて受講してもらえるとうれしいです。
◇100点
<満足度評価の内容と受講後の素直な感想>
心理的安全性が高いからなのか、いろいろな人の素直な意見が聞けたり、複数ふりかえりを行うことでゴールに近づけたりしました。
<体験いただいた手法や当ワークへの提案>
なし
<受講推奨の言葉>
プロジェクトに悩んでいるマネージャさんや、リーダさん、問題は出ているけれどうまく解決できないマネージャさんなどに受けて欲しいと思いました。
◇120点
<満足度評価の内容と受講後の素直な感想>
このタイミングで受講できて非常に自分のためになりよかった。実際のワークを通じて未来予想図を作り、PDCAを回し、ゴールへつながる体験ができて今後の仕事にも活かせそう。
印象に残った言葉
-できること、打ち崩すべき課題を吟味してリソースを最大限集中する
-よいチームはチーム内の心理的安全性が高い
<体験いただいた手法や当ワークへの提案>
・ワーク実施後(3ヶ月後か半年後)にワーク内容が現実に活かされているかふりかえりを行う機会を持つこと。
・複数のプロジェクトが進行する際の優先度順位づけ
<受講推奨の言葉>
体系立てて実際に手を動かしながらできるのでよかった。
◇100点
<満足度評価の内容と受講後の素直な感想>
・ワークを繰り返すたびに解決策を出して改善を進められることでチームの成長が感じられた。
・できそうにない目標でも理想的な未来を目指すことで、現状をどう改善しようか、という視点をつねに持ち続けられる。
<体験いただいた手法や当ワークへの提案>
ワークの繰り返しによる未来予想図の更新が難しい。変化が見えにくい。もう少し時間が欲しかった。
<受講推奨の言葉>
普段の業務で不可能と思われる案件があるが、本手法によって未来をよくするために何が出来るか、という前向きな議論ができるようになる。
◇100点
<満足度評価の内容と受講後の素直な感想>
・実践を通すことで、頭での知識で終わるのではなく、体感できたのは非常に良かった。
・自分の現場におけるチーム共有や課題解決へのアプローチを具体的な手法と、さらに自分に必要なものが見え、次のSTEPが理解できました。
・今後は学んだチームビルディングを現場に導入することでチームの方針や具体的ゴールを形成していこうと思います。
<体験いただいた手法や当ワークへの提案>
・口頭で説明いただきましたが、具体的な事例等をデータや資料でいただけますとうれしいです。
<受講推奨の言葉>
頭ではなく折り紙で理解する、チームビルディングとロジカルな課題解決。
◇95点
<満足度評価の内容と受講後の素直な感想>
無知状態で参加したのですが、SaPIDの流れを体験できたので大変勉強になりました。
理論の方も学習し、より自分に身につけていきたいです。
<体験いただいた手法や当ワークへの提案>
なし
<受講推奨の言葉>
SaPIDの全体像を半日で体験するなら凄くおすすめだと思います。
◇98点
<満足度評価の内容と受講後の素直な感想>
SaPID+TOCではなく、SaPID×TOCだなぁ・・・と感じました。
何かと何かをかけあわせるのがイノベーションで・・・
それに気づけるがどうかというところが凄いと思います。
知っているもの同士のコラボ感にわくわくしました。
<体験いただいた手法や当ワークへの提案>
参加メンバーに多少左右される側面もあるように思いました。
自分で選んで参加している人で構成されているのですごくやりやすかったのかと・・・。
(こういうワークをうみだす人になりたいです。って提案じゃないですが)
<受講推奨の言葉>
楽しいです!
目的を見失わないように、ということだけを心に留めて、思い切り楽しんで参加する!で持ち帰れるものがたくさんあるハズです。
◇98点
<満足度評価の内容と受講後の素直な感想>
無駄な内容は少しもなく大変有意義でした。マイナス2点は自分の理解度が不安な分です。
あと折り紙って疲れます。
<体験いただいた手法や当ワークへの提案>
なし
<受講推奨の言葉>
ふりかえりをしているけどうまくいっている感じがしない、チームで問題解決したいと感じている方にオススメです!
◇得点なし
<満足度評価の内容と受講後の素直な感想>
SaPIDについて無知状態で参加したのですが、大枠がつかめた気がします!
具体化、詳細化を早速実践したいと思います。
<体験いただいた手法や当ワークへの提案>
講義ターンもあるとうれしいです!(時間的に難しいと思いますが)
<受講推奨の言葉>
なし
以上が2017.2.24に東京で開催した「SaPID×TOC 未来予想型チーム運営ワークショップ」のレポートでした。
当初札幌で開催したトライアルの結果をふりかえり、様式や活用するツールなどさまざまな改良を加えて臨んだ東京でのワークは想定以上の反響をいただく結果となりました。
実務にもそのまま活用できる内容と自負していますが、このワークはあくまでも「導入編」です。
当手法のコアになるノウハウである「問題の捉え方、扱い方」については、一度体験しただけでは体得できないことも多いと想定しています。
今後は(早ければ2017年度内に)当ワークに加え、「問題の捉え方、扱い方」を深堀りするワークを開発・試行の後、提供する予定です。